矢野誠一の「酒場の藝人たち」(文春文庫)を読んでいて長年の疑問が解けました。それは日本のジャズシンガーの嚆矢、二村定一の姓の読み方です。名前の方は「ていいち」と知っていましたが、さて姓は「にむら」なのか「ふたむら」なのかが分からなかったのです。
正解は「ふたむら」でした。
数字の入った姓や地名の読み方は難しいですね。高校時代の同級生の三枝君の読み方は「みえだ」でした。でも本人は面倒くさいらしく、「さえぐさ」と呼ばれても訂正を求めることはほとんどありませんでした。
私の持っている二村定一の音源は「アラビヤの唄」「君恋し」と「浪花小唄」の3曲です。しかし、彼の歌のどこがジャズなのかなぁ。
と、ここまではよかったのですが、ふと矢野誠一の本で二村定一とエノケンの確執について触れたものがあったことを思い出し、書棚から「エノケン・ロッパの時代」(岩波新書)を探し出しました。残念ながらふたりの確執についてはその本に書かれていなかったのですが、二村定一にルビが振ってあったのです。
私は失念していたわけです。五十代も半ばになると、しっかり老人力がついているものなのですね。