旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

帚木蓬生「受命」

新聞の書評の、小説でしか書けない北朝鮮のリアルな姿が描かれている、というような言葉を鵜呑みにして、初めて読むこの作家の最新作を手にしました。ハードカバーで600ページ近い作品です。
しかし読みたかったリアルな北朝鮮の姿は、すでにテレビや週刊誌などで伝えられているものと大きな隔たりはなく、期待はずれに終わりました。
ではサスペンス小説としてはどうなのかと言うと、私には凡庸な作品としか思えませんでした。ただ、繋がりがないと思えた三つのグループの目指していたことがひとつに収斂していくところは、意表を突く結末とともになかなか面白かったと言えます。