旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

擦り切れるまで抱きしめて

初めてのレコードの話って、思い出の深いところに触れているようですね。
昨日の便りにメールを送ってくださった方、ありがとうございました。


初めて買ったLPは1枚でしたから、はっきり覚えています。浅草の「ヨーロー堂」ではなく、白髭橋を渡ったところにある墨田区の小さなレコード店で買ったのです。近所のアサヒ商店街に初めてのレコード店ができるのは、その5年後のことです。
そのLPは日本編集の東芝Odeonレーベル「meet the beatles」です。ジャケットは本家Parlophoneの「with the beatles」と同じですが収録曲目がまったく違っています。Parlophoneではこの前に「PLEASE PLEASE ME」が発売されていますが、日本ではこの「meet the beatles」がビートルズのファースト・アルバムとなりました。
さてその収録曲目ですが、初期ビートルズのベスト盤と言えるもので、東芝レコードの見識がうかがえます。あの頃は今と違って同種のものが各国で発売されていたのですが、その中でもっともよくできていたと言う人が現在でも多いようです。


よく「レコードの溝が擦り切れるまで聞いた」という表現を見かけますが、「meet the beatles」は私にとってそれに近いアルバムでした。当時、わが家にあったのはポータブル電蓄と言われるもので、小さな内蔵スピーカーがひとつだけ付いていました。ピックアップは圧電式で針圧調整などできません。相当な針圧がかかっていたはずで、そのために音溝が削られることがあったのでしょう。「擦り切れる」という表現は誇張ではなかったのです。


中学生時代の小遣いは確か月千円で、LPは2千円くらいでした。年に数枚しか買うことができません。ですから友人たちと貸し借りをしてレコードを聞いていました。ストーンズベンチャーズはそのようにして聞いたのです。
あの頃の友人たちは、今どんな音楽を聞いているのかな