旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

「東京散歩」始めました。

ヨーロー堂

先月、高らかに宣言した「東京散歩」ですが、昨日その第一回目を挙行いたしました。
場所は浅草、まずは馴染みの町からです。


台東区に育った私にとって、浅草はハレの町でした。お祭りや縁日だけでなく、六区の映画や花やしき松屋デパートでの買い物など、浅草には楽しさのすべてがありました。
でも最近では、すっかり足が遠のいていました。昨年行ったのは一度だけ、父の三十三回忌法要の日でした。
話はそれますが、今日は四十三歳で亡くなった父の祥月命日です。亡くなった場所は浅草寺病院でした。


さて初冬の昼下がり、中央線を神田駅で降り、地下鉄銀座線に乗り換え浅草に到着しました。気温はさほど高くありませんが、風がないので絶好の散歩日和です。
雷門からスタートするつもりでしたが、そこを通り過ぎ「ヨーロー堂」に行きました。私が初めてレコードを買った、思い出の店です。


久しぶりに訪れた「ヨーロー堂」は、やけに小さく、古びて見えました。大型のCD店との差別化を図るためか、邦楽や演歌のポスターを貼り巡らせているせいでしょうか。かって憧れだったエレキギターが飾られていたショーウインドウには、安物のガットギターが並べられています。
私たちにとって「ヨーロー堂」は夢の詰まっているお店でした。店内は明るく、最新のヒット曲のドーナツ盤や、滅多に買えないLPが所狭しと並んでいます。店員はみんな親切で、学生服を着た私に、音楽に詳しい親しいお兄さんのように接してくれました。LPを手にしてじっとジャケットを眺めていると、「試聴する?」ときいて、答える前にレコードをターンテーブルに乗せてくれるのです。ガーランドのレコードプレイヤーが眩しく見えました。


結局「ヨーロー堂」の中には入らず、雷門に戻ってきました。淋しさはありましたが、「ヨーロー堂」がまだある、それだけでいいや、と思いながら‥‥。