旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

ベロ出し飴

「ベロ出し飴、買ってきたよ」
私が小さい頃、祖父はたまに駄菓子をお土産に買ってきてくれたのですが、金平糖やカリントといった昔ながらのそれで、子供にとってはさほど嬉しくないものでした。いつもは黙って駄菓子を差し出す祖父ですが、その日は珍しく私に声を掛けて、白い紙袋を渡してくれました。
ベロ出し飴、私は一瞬箱に細工をしてあるキャラメルを思い浮かべました。駄菓子屋には箱に顔が描かれ、目や口が動くキャラメルが売られていることがあったのです。それらは、味ははっきり言ってまずいのですが、当時の子供にとっては魅力的でした。
私は早速袋をあけました。中に入っていたのは不二家のミルキーでした。
がっかりです。確かにミルキーの箱のペコちゃんはベロを出してほほえんでいます。
祖父の性格を考えると、気を利かして「ベロ出し飴」と言ったわけではないなずです。たぶんミルキーが「ベロ出し飴」という愛称で呼ばれていたことがあったのでしょう。
期待した「ベロ出し飴」ではありませんでしたが、ミルキーは大好きでした。すぐに箱をあけ、紙に包まれたあの乳白色の飴を取り出し、口に放り込みました。


消費期限の切れた材料を使った不二家の製品が問題になっています。
ミルキーやネクター、それにクリスマスケーキといった不二家の製品に、愛着や思い出を持つ私のような庶民は多いはずです。お菓子のメーカーは製品だけではなく、夢も売っていたことを忘れないでください。