旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

刀は剣士の命です。

チャンバラごっこは刀さえあればできます。それも棒きれで十分です。
おもちゃ屋で売っている刀はペカペカで、小さい子用です。刀で思い切り打ち合うのはチャンバラの一番の楽しみですから、頑丈な物でなければなりません。
あの頃はどこにでも棒きれが落ちていました。そのまま使えればいいのですが、なければ大きなものを切ったり削ったりしました。中には本物の木刀を持っている子もいましたが、これは例外です。
観光土産に売られている杖を使うこともありましたが、あまり好まれません。杖は杖だからです。
杖が必要な役はあります。白髪の老剣士か妖術使いです。でも、その役が登場することはほとんどありませんでした。人気のない役なのです。


チャンバラ好きの私に、伯母が立派な刀を買ってくれたことがありました。近所のおもちゃ屋ではなく、デパートに私を連れて行き、自分で選ばせてくれたのです。
私はその刀を抱えて意気揚々と家に帰ってきたのですが、それはチャンバラごっこに登場することはありませんでした。棒きれの刀とあまりに違いすぎたからです。
立派な刀はもっぱら家の中で使われました。秘剣を生み出すために、私は毎日それを用いて修行に励んでいたのです。