旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

I Remember Clifford

「In Concert!」

フォギーが絶賛したローチ&ブラウン・クインテットが残したスタジオ録音のすべてはエマーシー・レーベルで聞くことができますが、私の一番好きな演奏はここにはありません。このジャズ史に残る双頭コンボ唯一のコンサート録音は何故かエマーシーではなくGNPというレーベルにあるのですが、それが私のお薦め「In Concert!」です。
私にはローチ&ブラウン・クインテットのスタジオ録音はアレンジ過多と思われます。それがブラウニーの自由闊達な演奏に、制約を与えているような気がしてなりません。アート・ブレイキーホレス・シルバーとの「A Night at Birdland」に代表されるように、彼の魅力はライヴ演奏でより発揮されます。


クリフォード・ブラウンは「In Concert!」録音の約2年後に交通事故で亡くなりました。25歳でした。
同乗していたリッチー・パウエル夫妻もともに亡くなり、ローチ&ブラウン・クインテットはふたりのメンバーを1956年6月26日の早朝に失ってしまったのです。
しかし、ブラウニーは素敵な贈り物を残してくれました。死の数時間前にフィラデルフィアの楽器店「ミュージック・シティ」で地元のミュージシャンたちと繰り広げたジャムセッションが録音されていたのです。
「The Beginning and The End」と名付けられて発売されたそのレコードには、クリフォード・ブラウンが短いい生涯の最後に演奏したビ・バップの名曲が3曲収録されています。私はこれを彼のベストの演奏と考えています。


ブラウニーの死を悼んでベニー・ゴルソンが作曲した「I Remember Clifford」は、誰からも好かれたという彼の人柄を偲ばせる暖かく哀切な旋律を持った名曲です。