旭亭だより

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色川武大「寄席放浪記」

「寄席放浪記」

「寄席放浪記」は落語家、色物芸人、コメディアン、チャンバラ映画に関するエッセーと、それぞれに対応した四つの対談からなっています。エッセーも楽しいのですが、人を得た対談が抜群に面白い本です。


落語家については矢野誠一、色物芸人に関しては立川談志が対談相手です。
談志がテレビなどでやる啓蒙的な内容のおしゃべりはほぼつまらないのですが、彼が偏愛する無名の芸人たちの話は傾聴に値します。ましてやそれらについて造詣が深い色川相手の対談ですから、談志のボルテージは上がる一方です。


コメディアンについての対談相手は<あちゃらか>芸人の鈴木桂介とギャグマンの淀橋太郎です。これはすごい人選です。なぜなら鈴木桂介は「あちゃらかぱいッ」の主要な登場人物だからです。まさに生きている伝説なのです。*1
しかし、残念なことに鈴木桂介はあまりしゃべりません。意外とシャイな人なのかも知れません。


菊村到と語るチャンバラ映画の話も味があります。ふたりともチャンバラ映画が大好きで、本当によく見ていたことに感心するばかりです。
エッセイの「馬鹿殿さま専門役者」にはしんみりとさせられました。人にはこんな生き方もあるのですね。

*1:鈴木桂介は亡くなりました。