旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

ゲーデルの「不完全性定理」を買ってしまいました。

「生き抜くための数学入門」

若いころは読みもしない難解な哲学書の類を本棚に並べて、背表紙を眺めては悦に入っていましたが、最近はそういったことはなくなりました。身の丈にあった本だけを買うようにしています。
しかし先日、悪い癖が出てゲーデルの「不完全性定理」を購入してしまいました。
岩波文庫なのに横書き(数学の論文だから当然なのですが)、全309頁中本文は62頁、残りは訳注と解説という一風変わった本です。


昨年読んだ本の中で、新井紀子の「ハッピーになれる算数」は私の年間ベストテンに入るものでした。その続編となる「生き抜くための数学入門」が先月発売されましたので、早速読んでみました。なんとこれは前書を上回る感動の一冊だったのです。


「ハッピーになれる算数」は算数とは何かを、根源的にわかりやすく教えてくれる優れた本です。つまり、あくまでも算数の本なのです。
それに対して「生き抜くための数学入門」は、<考える>方法を、概念的ではなく、数学という曖昧さのないものを通して教えてくれる本です。そして、最後のふたつの章では私たちをとんでもないところに連れて行ってくれます。


そこではまず「博士の愛した数式」、オイラーの等式が説明されるのですが、これが私のように数学がまったく苦手な人間でも、この本を順を追って読んでくると理解できてしまうのです。
そして最後にゲーデルの<不完全性定理>が語られます。これは本当にショックです。


高校生のときに遠山啓の「無限と連続」を読んで、頭の中を風が通り抜けていくような爽快感を覚えた記憶がありますが、この本が与えてくれる感動(もしかしたら不快感)はそれを遙かに凌駕するものでした。
その後で、書店でゲーデルの「不完全性定理」を見つけたら、これは買っちゃいますよね。