旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

バレ話は難しい。

「五里霧」

大西巨人の著作は買いのがすとなかなか入手できないので、新刊が出るとすぐに購入するようにしています。が、「五里霧」は出版されていたことを知らず、先月書店で見つけて手に入れました。


緻密で古風な文体で描かれる大西の性描写は、おそらくは彼の意図するところではないのでしょうが、長編作品にはユーモアを与える結果となっています。「五里霧」は連作短編集で、性そのものを主題とした作品が含まれています。


カマトトぶるわけではありませんが、性的な話題は、私には何を言っているのかわからないことが多いのです。バレ句などは注釈書がなければお手上げです。「鈴ふり」とか「疝気の虫」のような落語はわかりますが、艶笑小咄はほとんど理解できません。こちらには注釈書がありませんので、頭をひねるばかりです。*1


そんなわけで「五里霧」中「底付き」は、末尾に引用されている森鴎外の「魔睡」も含めて、よく理解できませんでした。太宰治の「満願」も「これでいいのかな」という程度の私ですから無理もないのですが‥‥。

期待された向きにはがっかりさせてしまったようですので、「底付き」の一部を引用して終わることにします。

男(夫)は、房事中、亀頭が膣底(外子宮口附近)に突き当たる手ごたえ〔?〕に喜びを覚えるらしく、なかんずく最高潮時(射精時)に亀頭が外子宮口周辺に銜え込まれるような感触に出会ったとき、奇特の快楽を味わうようであり、そのとき女も往往にして同様の境地に到達するようであるが、子宮除去後の女は、前者とも後者とも無縁であるにちがいない。

*1:艶笑小咄集は何冊か出版されていますが注釈はついていません。「そんなのねぇ、あーた、野暮の極みだよ」といったところなのでしょうか。