旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

ケッ、ここでも<世界観>かよ!

昨日の読売新聞夕刊に、久しぶりの新曲「花火音頭」を出した橋幸夫のインタビュー記事がありました。そこで彼は「この(故郷で家族や地域の人々が深く結びつくという − 引用者注)世界観を継続して歌っていこうと思ったのです」と語っています。


<世界観>という言葉はアニメの世界から使い始められたようですが、最近では若いミュージシャンたちもよく使っています。それを聞くたびに「わざわざ<世界観>なんて言うことでもないだろう」と感じていたのですが、とうとうベテランの歌手までも使うようになってしまいました。


当世流行の<世界観>という言葉を聞くたびに、一時期よく使われた<ビジネスモデル>という言葉を思い出します。「その程度のことを、わざわざ<ビジネスモデル>なんて言うこともないだろう」というわけです。


ユニクロの柳井社長は数年前「当社のビジネスモデルを使えばおいしい野菜を安く提供できる」なんて言って、青果業に進出しようとしていました。この場合の<ビジネスモデル>って、たぶんユニクロの縫製工場がある、人件費の安い中国で野菜を作り、日本国内で販売するという程度のことなんでしょうね。


結局、店頭販売はせず、ネットで野菜を売っていましたが、すぐにやめてしまいました。
普段から台所に立っている人間は、中国産の野菜なんか買いません。安いけれど農薬まみれだからです。
文化大革命が中国の農業を壊滅状態にしたことは、中学生でも知っています。それを立て直し、良質の野菜生産の指導をし、中国の農業を変えていこうという視点は、ユニクロの<ビジネスモデル>とやらにはなかったということです。


<世界観>とか<ビジネスモデル>といった、耳あたりのいいはやり言葉は、言葉自体がひとり歩きしてしまいます。それと拮抗できるほどのものがない限り、使わないほうが無難でしょうね。