旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

お使い姫には出会えずに

王子稲荷

駅前の歩道橋を渡り、線路に沿って赤羽方向に歩きます。きれいではありませんが、なんだか懐かしい町並みです。


王子稲荷、脇の参道から入ってしまいました。おまけに途中にあったはずの「扇屋」にも気づきませんでした。どうもお花見気分が抜けていないようです。
「扇屋」は落語「王子の狐」で若い女に化けた牝狐(<お使い姫>と呼びます)が、それに気づいた男によって勘定を押しつけられた料亭です。


王子稲荷は関東の稲荷の総元締めだったそうですが、現在の姿からそれを偲ぶことはできません。また、線路を挟んだ反対側にある、大晦日に関東中の狐が集まり、その下で装束を改めて王子稲荷にお詣りしたという、装束稲荷の大榎も今はありません。*1
広重の描く「名所江戸百景」は「王子装束ゑの木大晦日の狐火」で締めくくられていました。


少し足を伸ばせば名主の滝があるのですが、上野の桜が気になり、お使い姫に出会えないまま、王子駅に戻ってきました

*1:王子稲荷では大晦日に狐のお祭りをやっています。除夜の鐘を合図に、装束稲荷から王子稲荷まで、狐の面と装束を着けて歩く狐行列は、一度見てみたいものです。