駅前の歩道橋を渡り、線路に沿って赤羽方向に歩きます。きれいではありませんが、なんだか懐かしい町並みです。
王子稲荷、脇の参道から入ってしまいました。おまけに途中にあったはずの「扇屋」にも気づきませんでした。どうもお花見気分が抜けていないようです。
「扇屋」は落語「王子の狐」で若い女に化けた牝狐(<お使い姫>と呼びます)が、それに気づいた男によって勘定を押しつけられた料亭です。
王子稲荷は関東の稲荷の総元締めだったそうですが、現在の姿からそれを偲ぶことはできません。また、線路を挟んだ反対側にある、大晦日に関東中の狐が集まり、その下で装束を改めて王子稲荷にお詣りしたという、装束稲荷の大榎も今はありません。*1
広重の描く「名所江戸百景」は「王子装束ゑの木大晦日の狐火」で締めくくられていました。
少し足を伸ばせば名主の滝があるのですが、上野の桜が気になり、お使い姫に出会えないまま、王子駅に戻ってきました