旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

同時進行

「カラマーゾフの兄弟」

亀山郁夫訳の「カラマーゾフの兄弟」が3冊まで出ましたので、読み始めることにしました。1冊読み終えて次を待つというのでは、本の中の世界に入っていけませんものね。
自慢することではありませんが、「カラマーゾフの兄弟」は何度も読んできました。高校生のときに読んだ米川正夫訳に始まり、最近では、といっても10年以上前ですが、原卓也訳の新潮文庫版。


亀山訳を読んでいて、何か今までと違うと感じました。平易ないい訳文なのですが、それではありません。読んでいる自分の側が違うのです。


情景が浮かんでくるのです。今まではエキセントリックな登場人物たちの立居振舞を追うだけで精一杯だったのですが、今回はスコトプリゴニエフスク(家畜追い込み町)という町の様子が見えてくるのです。
たぶん、前回のカラマーゾフ体験の後に江川卓の「謎とき『カラマーゾフの兄弟』」と、今回の翻訳者、亀山郁夫による「ドストエフスキー 父殺しの文学」を読んだせいでしょうが、私が馬齢を重ねたことにもよると言ってみたい気もします。


実は岩波文庫の藤沼貴訳「戦争と平和」も読んでいるのです。ロシア文学横綱対決です。
それ以外にも荷風に手をつけたり、古川ロッパの日記を他人の日記を盗み見するようにたらたら読んだり、昨夜は島田裕巳の新刊「中沢新一批判、あるいは宗教的テロリズムについて」を一気に読み終えてしまいましたし、今朝はうっかりして車谷長吉の「贋世捨人」を読み始めてしまったり等々、いったい何冊同時進行させたら気がすむのでしょうか。
まあ先が見えてきた人生ですから、読書くらいは勝手にやらせてもらうことにしましょう。