旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

歌集「荒栲」

歌集「荒栲」

40歳のころに、もし自分が本を書くことがあったら、その1冊目は筏井先生の評伝にしよう、となんのあてもなく考えていたものでした。それから15年がたちましたが、一向にその準備に取りかかっていません。
かろうじて2年前に、先生の代表作である歌集「荒栲」を手に入れただけです。写真がそれです。


大西巨人氏と大岡信氏が、「春秋の花」と「折々の歌」で取り上げた、「荒栲」所収の作品を引いておきます。
 遅ざくら咲きかたぶけり下道をわがゆくときに花片の散る 
 わが家はがらくたばかりがらくたの一部ぞわれも子も妻もまた
「荒栲」刊行時(1940年)には先生は深川に住んでいて、ふたりのお嬢さんがいらっしゃったようです。「荒栲」冒頭には、家の前で撮影した先生とお子さんの写真が掲載されています。


怠け者の私ですから、先生の評伝を1行も書かずに生を終えてしまいそうですが、ここにそれを記し、少しは自分に鞭打つことにします。
さきほど「八木書店」に、先生の晩年の歌集「籬雨荘雑歌」と、先生の死の翌年に刊行された村井憲太郎氏の「『籬雨荘雑歌』の研究」を注文しました。