旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

映画の中の帰国事業

「キューポラのある街」

中洲産業大学森田一義教授のようなサユリストになるのには間に合わなかった世代の私ですが、吉永小百合さんを日本の代表的女優と認めるにはやぶさかではありません。
でも不思議な女優さんですよね、見るに堪える主演作品が1本しかないのですから。


その作品、浦山桐郎監督のデビュー作でもある「キューポラのある街」は、ちょっとプロパガンダ映画っぽいところがありますが、あの時代をしっかりと捉えた傑作です。助演者も豪華ですし、姫田真佐久のカメラが最高です(もちろんモノクロ!)。


NHK・BSで放映されたものを録画して何度か見たのですが、気になるところがありました。
この映画では、北朝鮮帰国事業が大事なサブストーリーになっているのですが、その部分の音声の多くが消されているのです。前後の会話から消されたセリフは察しが付くのですが、どうもすっきりしません。
最近はいわゆる<差別用語>のある映画でも、放送前に断りのテロップを入れて、音声を消さずに放映されるようになりましたので、おそらく「キューポラのある街」の完全版も見ることができるのでしょう。


なんとなく知っているつもりでいた帰国事業ですが、テッサ・モーリス−スズキの「北朝鮮へのエクソダス」を読んで、何も知っていなかった(=知らされていなかった)ことがわかりました。