王楽さんのブログによりますと、当日は「鼓ヶ滝」を演るつもりでしたが、仲入り前の金原亭世之介師匠が「天狗裁き」でしたので、急遽「読書の時間」に変えたとのことでした。
その「天狗裁き」ですが、噺に入った瞬間、私は「おっ、『夢の酒』か」と早とちりしてしまいました。こんな暑い日には「夢の酒」でも聞きたいな、という気持ちがあったからでしょう。
早とちりはもうひとつありました。世之介師匠の前の三遊亭好二郎さんの「権助芝居」も「蛙茶番」かな、と思ってしまったのです。情けない席亭です。
好二郎さんの「権助芝居」はとてもよかったのですが、ツボにはまったのは三遊亭きつつきさんのマクラでした。
落語を聞くには想像力が必要です。それが無い方には落語の面白さはわかっていただけません。ここでみなさんご存じの「森の熊さん」という歌を落語で演ってみましょう。(「森の熊さん」の一番を歌う。)これが落語になりますとこうなります。
(間)
「おっ、熊さん」
(間)
これだけです。
この「熊さん」は八っつぁん、熊さんの「熊さん」に聞こえました。
きつつきさんの最近の進境は著しく、高座に上がったときも客席から「たっぷり」との掛け声がありました。演目は「黄金(きん)の大黒」で、途中で終わってしまったのですが、オチまであと僅かなのですから、全編を聞きたかったですね。