旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

大岡様って(実は)こんな人だったんだ。

志の輔師匠の登場です。待ってました!
演し物は「三方一両損」。どんな大岡裁きが聞けるのでしょうか、期待でわくわくします。
マクラは短く、噺にすっと入りました。三両を拾った左官の金太郎と、落とした大工の吉五郎のやりとりが鮮やかです。ぽんぽんぽんと小気味よい啖呵が飛び交い、意地の張り合いから吉五郎が金太郎をぽかりと殴ります。止めに入る大家や、金太郎の長屋の大家まで巻き込まれ、いよいよ大岡裁きへ。
志の輔師匠のことです。すんなりと、名奉行の名裁きとなることはないはずです。
案の定、テレビドラマ「大岡越前」のテーマの異様なハミングにのって、越前守が不気味に登場しました。口調も、名奉行というよりはいっちゃている人のそれです。
三方一両損の裁きを言い渡して満足しているのは大岡様だけ。おまけに、昨夜一晩考えたというこの裁きを、名奉行大岡越前の名とともに歴史に残るであろうと自画自賛までしちゃってます。自意識過剰な大岡様です。
唖然としている吉五郎と金太郎に、越前守は「こやつらにはちと難しいのかな」とばかりに、重ねて裁きの意味を説明します。しつこい人だねぇ。
「そりゃわかるんだけど、なんで俺たちの問題にお奉行様が加わってくるの?」当然の質問がされます。なんとか言いくるめる大岡様。往生際の悪いお侍だなぁ。
サゲの例の駄洒落が、越前守には理解できません。ふたりにその意味を問い、噺は終わりました。*1
実に面白かったのですが、サゲにもう一ひねり欲しかったですね。ということは二ひねりになるのか。こりゃ贅沢っていうもんですね。

*1:「多かあ(大岡)食わねえ」「たった一膳(越前)」というアレです。