旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

百歩先往く平岡兄さん

昨日の朝日新聞の読書欄に、敬愛する平岡正明兄(あに)さんの写真が載っていました。「著者に会いたい」というコーナーです。
一瞬、某コメディアンと間違えてしまいました。「ラサール石井も柔和な顔立ちになったな」と思ってよく見ると、なんと平岡兄さんでした。兄さん、お許しを。
高校生のときに友人から借りた「ジャズ宣言」が平岡兄さんとの出会いでした。読んではみましたが、何が書いてあるのかさっぱりわかりません。それでも気になり、兄さんの本は読み続けていたのですが、少し理解できるようになるには、たぶん兄さんの唯一のベストセラー「山口百恵は菩薩である」の上梓まで待たなければなりませんでした。
それからさらに長い月日が流れ、95年に平凡社から「プレンティ・プレンティ・ソウル」が出版されました。一読、涙が止まりませんでした。すぐに再読し、これからは兄さんと呼ばせていただこう、そう決意しました。
文章はわかりやすくなり、それでいて深みが増していました。平岡節も健在でした。
「大落語」には驚きました。まさか兄さんの落語論を読む日が来るとは思ってもみなかったのです。浪曲、新内の先に落語があったとは。
また、この本で兄さんの少年時代のことを初めて知ることができました。僭越ながら、平岡少年は私にとってとても近しい存在に感じられました。


思えばジャズに始まり、いつも兄さんの背中をみながら歩いてきたような気がします。兄さんはいつも私の百歩先を歩いています。距離はいっこうに縮まりそうもありませんが、背中だけはいつも見ていたいのです。
兄さんが「うま野毛寄席」を始めたのを知り、私もなんとか席亭をやりたいと考えるようになりました。平岡兄さんは【江刺寄席】の生みの親でもあるのです。
今回の著書「シュルレアリスム落語宣言」も謹んで読ませていただきます。なんと67歳におなりだとか。兄さん、あと百冊くらいは書き残してくださいね。


シュルレアリスム落語宣言

シュルレアリスム落語宣言