旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

続「本の本」

昨日は「書評集の書評は必要ないですよね」なんて書いて締めくくりましたが、あれはシャレで(優れた書評集の書評なんて、とてもじゃないけどできません)、まだ読み終えていませんがとりあえずの感想を少々記すことにします。


結局、二本の栞紐ではたりず、三枚の栞も使って読んでいます。全五章すべてを同時に読もうという魂胆です。
各章内の書評はほぼ時系列で並んでいるのですが、章の冒頭にある目次は内容毎になっていますので、それと巻末の索引を併せて読み進めると、付箋紙も必要になってきました。


若い作家たちの小説に対する読みの的確さに舌を巻きました。老作家たちがいかにそれらの作品を読めていないかが指摘されていますが、それは私にも刺さってきます。
ただ、裕次郎の兄貴が唯一の本職(by 山崎元・経済評論家)である石原慎太郎は見事なほどに笑わせてくれます。


柳美里の「石に泳ぐ魚」問題に関して、<大江健三郎ら少数の人を除いて、多くの文学者が「私小説擁護」にまわったことに私は少なからず衝撃を受けた。>(133頁)とありますが、判決が出たときに、大江は表現の自由の侵害だと批判をしていたと私は記憶しています。あれは判決に対する批判で、私小説批判と文脈が違うのかな?
それを読んだときに、「取り替え子(チェンジリング)」の作家としてはそう書かざるを得ないだろうな、という感想を持ちました。