旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

あんつるさん

最近の便りが愚痴っぽくなってしまい、反省しています。
仕事も私生活も順調なのですが、どうしても好事魔多しという思いに捉えられてしまうのです。多少波乱が多く生きてきたせいか、この、あたりまえといっていい生活が信じられなくもあるのです。
こりゃあ、いけませんなぁ。それじゃ死ぬときのことばかり考えて、くよくよしてるようなものです(ちょっと違うか)。ぱーっとやる必要はないけれど、暗くなってちゃいけませんやな。


閑話休題
昨日は安藤鶴夫の、復刊が待ち遠しかった「三木助歳時記」を読んでいました。
三代目桂三木助(本名・小林七郎)が、若いころは隼の七と呼ばれるほどの博打打ちだったことや、一時は噺家をやめて日本舞踊の師匠をしていたことなどは聞いていましたが、その生涯についてはほとんど知りませんでした。「三木助歳時記」は作者の絶筆で未完に終わりましたが、結末近くまで筆が進んでいましたので、やっと三木助という噺家についての知識を得ることができました。
小説ですからフィクションも多いのでしょうが、作者自身をモデルとした四谷の先生、こんかめ(近藤亀雄)さんが、高座にかける前の「芝浜」にダメ出しをする場面は臨場感にあふれ、私を名作誕生の場に立ち会わせてくれました。
また、主人公の三木助だけでなく、脇役である文楽志ん生花柳章太郎といった人たちも描写も魅力的です。
三木助歳時記」は3月の刊行ですが、先月は同著者の「わたしの寄席」も出て、河出文庫の落語本は充実したラインナップになってきました。正岡容も含めて、早めに手に入れておくことをお薦めします。
そういえば随分昔に、あんつるさんのお孫さんと何度か会ったことがありましたっけ。あのころはあんつるさんの本を読んでいなかったので、お祖父さんについて何もきけませんでした。もったいないことをしたものです。