晴れた休日となれば、これはもう書店までお散歩するしかありません。
何冊か新刊書を買って帰り、鈴木邦男&川本三郎の対談本「本と映画と『70年』を語ろう」(朝日新書)をソファーに寝転がって読んでいます。
川本氏の本はよく読みますが、鈴木氏の本は先月読んだ「失敗の愛国心」だけで、これが二冊目です。「失敗の愛国心」は理論社の「よりみちパン!セ」というシリーズの中の一冊ですが、このシリーズは私のお気に入りです。右翼と呼ばれる人の本は、それ以前には葦津珍彦氏の著作しか読んだことがありません。
「失敗の愛国心」は面白かったのですが、中学生向きに書かれているせいもあり、ややもの足りませんでした。今回の対談本は(まだ読み終えていませんが)、冒頭から赤衛軍事件についての鈴木氏のするどいツッコミがあり、著作には出てこない川本氏の一面が窺えそうです。
読了前にこの本について触れたのは、川本氏が事件の首謀者だった菊井良治氏を信用したきっかけが、宮澤賢治とC.C.R.にあったと書かれていたからです。川本氏はこのように語っています。
「ビートルズが好きだ」と言うのなら、月並みなんですが、CCRというのは当時でも、みんなが好きだったというグループではないんです。宮沢賢治にしても、中村稔さんが書かれた、当時そんなにベストセラーじゃない本が彼は好きだという。その二つで意気投合して、参っちゃったんです。
うーん、これなら私も(当時の)川本氏と意気投合できそうです。でも、私のようにものを知らない人間でさえそうだったのですから、あのころにはC.C.R.を聞き、中村稔氏の賢治論に心酔している人はけっこういたのではないでしょうか。それに、ちょっとした賢治ブームでもありましたしね。
東大から朝日新聞という頭のよさそうなコースをたどった川本氏にしても、こんなきっかけで人を信頼してしまうとは、若さとはげに純粋な面を持っているものなのですね。(これは皮肉ではありません。)
- 作者: 鈴木邦男
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- 発売日: 2008/03/21
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