旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

想像通り

署名入りの本は買わないことにしています。
昔は、好きな作家だけでしたが、集めていたことがあります。でも、すべて処分してしまいました。惜しいな、と思うのは全巻に署名と落款が押された藤枝静男の著作集くらいです。
署名があることによって古書価格が上がる作家は、現存する人にはいないと聞いています。下手くそな字の人が多いものね。
ところが、買ってしまいました。探していた本が署名入りのものしかなかったのです。
その本は仰々しくセロハン紙に包まれ、その上に署名本と書かれた紙が貼られていました。それだけで、レジに持って行くのが恥ずかしくなります。
「このオヤジ、署名本だから後で高く売れると思ってるんだぜ、ケッ。」
小心者の私は、そんな視線を勝手に感じてしまうのです。
旭亭に帰り、包装を外す前にどんな筆跡か想像してみました。私は敬愛するその作家の顔写真すら見たことがありません。ですから、その人の書くものから想像してみたのです。(顔を知っているからといって、筆跡がわかるわけではありませんが‥‥。)
すぐに、筆跡が思い浮かんできました。セロハン紙を取り表紙をめくります。
想像通りでした。あまりにも一致しているので、怖くなるほどです。
「絶叫師タコグルメと百人の『普通』の男」の見返しには、太めのサインペンで「笙野頼子」と署名されていました。


今日は収穫がたくさんありました。植村邦彦訳/カール・マルクス「ルイ・ボナパルトのブリューメル18日」(平凡社ライブリー)、北一輝国体論及び純正社会主義(抄)」(中公クラシックス)、柴田宵曲編「奇談異聞辞典」(ちくま学芸文庫)等々です。
「ルイ・ボナパルトのブリューメル18日」は筑摩書房マルクス・コレクションに収録されている横張誠氏の訳と、ともに初版をテキストにしていますので、読み比べてみることにしましょう。
国体論及び純正社会主義(抄)」には「支那革命外史(抄)」も収録されています。これらを読むのは40年ぶりのことです。こんどは理解できるかな。
「奇談異聞辞典」は700頁もあります。柴田宵曲の本がまた1冊手に入っただけで、嬉しくて小躍りしたくなります。


絶叫師タコグルメと百人の「普通」の男

絶叫師タコグルメと百人の「普通」の男