旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

老いであればよかったものを

二ヵ月ほど前のことでしょうか。銀行の待ち時間に備え付けの「週刊文春」を読んでいました。特集記事に面白そうなものがなかったので、小林信彦氏のエッセイに目を通すことにしました。
小林氏は私の好きな作家、評論家です。「週刊文春」のエッセイは、文庫化されるたびに購入しています。
ところが、そのエッセイを読み、びっくりしてしまいました。血液型性格判断について書かれていたのですが、氏はあの似非科学を本気で信じているようなのです。
今年になって、新手の血液型本があらわれ、売れていることは知っていましたが、ゴミに興味はありません。なんでまたそんなものに、冷徹な批評家である小林信彦氏がひっかかるのは、私には理解できませんでした。
吉本隆明氏が床屋政談を垂れ流しているように、小林氏もこんなものを論ずるようになってしまったのか‥‥げに老いとは悲しいものだ、と思うばかりでした。


先日、小林氏の「紳士同盟」が扶桑社文庫で復刊されたことを知り、遅ればせながら手に入れました。その59、60頁に血液型性格判断についてふれた部分がありました。どうやら、氏の似非科学信仰は老いとは無縁のようです。
やれやれ。「紳士同盟」読まなければよかったな。


紳士同盟 (扶桑社文庫 (こ13-1))

紳士同盟 (扶桑社文庫 (こ13-1))