旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

そろそろあのころのジャズを

昨日の夕方、ハイボールを飲みながら日野皓正の「Journey Into My Mind」を聞きました。73年12月の録音です。演奏だけでなく、イイノホールの残響を活かした録音も秀逸です。
個人的には「A Child Is Born」の名演が聞ける前年の「藤」が好きなのですが、このアルバムの方が音楽の凄さを感じさせてくれます。
日野は75年にアメリカに移り住みます。74年にはすでに沖至がパリに旅立っていましたから、音楽のスタイルはまったく違いますが、優れたトランペット奏者がふたり、活動の場を海外に移してしまったことになります。
そのころから、日本のジャズは輝きを失っていきました。


70年前後は日本のジャズの黄金時代でした。ライヴハウスは盛況で、毎月何枚ものレコードが発売されていました。ジャズが一番身近にあった時代と言えるでしょう。
それは戦後のジャズブームを知らないからだ、と批判されそうですが(人気の点ではたしかにそうだったのですが)音楽の質がまったく違っていました。*1


私がもっとも足繁くライヴハウスに通ったのは、その時期でした。ワンコイン、ではなく500円札1枚で、渡辺貞夫、日野皓正、菊池雅章や山下洋輔がいつでも聞けたのですから当然のことです。


あのころのレコードの多くがCD化されましたが、私はそれらを買っていません。そこにべったりと座りこんで、感傷にひたってしまうのが怖かったのです。
でも、もういいのかな。
十分に歳をとってきたのですから、涙を流しながら聞いたって、もうどうってことないでしょう。それに、あれほどすばらしい音楽を遠ざけ続けるなんて、もったいないことです。
ということで、来年から集め始めることにします。アナログ盤が欲しいけどね。

*1:あの時代のジャズがなぜ優れたものになったのか、あれこれ考え私なりの結論に達しました。機会がありましたなら、記すことにします。