旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

終わりよければ

「On Green Dolphin Street」

先日書いた「あのころのジャズ」よりはだいぶ新しものですが、宮沢昭のレコードが1枚、ラックの中に眠っていました。このレコード、買った記憶はありましたが、まさか残っているとは思ってもいませんでした。というのは、以前はごそっとまとめてレコードや本を処分することがよくあったからです。


宮沢昭は、コルトレーンの存命中からその演奏の影響を受けた、たぶん日本では唯ひとりのサックス奏者です。が、「あのころ」は歌伴やスタジオに仕事の場を移していましたので、私はその演奏に接することはできませんでした。
手元にあったレコード「On Green Dolphin Street」は、宮沢がそれらの仕事を自らの意志で辞め、ジャズの世界に戻ってきてからの作品です。
録音は82年、宮沢をささえるのは佐藤允彦トリオ(井野信義、日野元彦)です。スタンダードが並び、オリジナルがないのは当時の(そして今も続いている)風潮とはいえ残念ですが、「いそしぎ」のような大甘になりがちな曲でも、佐藤のアレンジもあるのでしょうが、ぴりっとした演奏を聞かせてくれるのはさすがです。
しかし、このカルテットのうちのふたりは、もうこの世にいないんですね。


実は佐藤トリオによる翌年の録音盤「Brink」もありました。ラッキー!です。
これまたすごい演奏で、佐藤允彦の、トリオによる演奏では最高傑作だと私は確信しております。トーサのピアノって、理に落ちることが結構あるんですよね。このレコードは、フツーに聞いても十分楽しめますし、一音も聞き逃すまいと耳を研ぎ澄ませば、どひゃーっと驚き、感動してしまうこと間違いなしの作品です。でも、CD化はされていません。


レコードの低音とCDのそれって、なんであれほど違うのかな。特にコントラバスの、地を這うような、それでいて艶っぽい低音は、CDで聞けたためしがありません。


なんだか大晦日に得をしてしまいました。終わりよければすべてよし、ということで、今年もいい一年になっちゃいました。