旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

ことばの問題

映画「おくりびと」がアカデミー賞を受賞し、話題になっています。映画館に足を運ばなくなってしまった私ですから、この映画について述べることはないのですが、公開当時からタイトルが気になっていました。


「○○人」といういい方は、音楽グループの名前なので見かけたことはありましたが、私には不快な語感でした。「走り」とか「立ち上げ」とか、最近では「気づき」といったような、不自然な名詞を聞いたときと同じ、あざとさをそこに感じたからです。さらに「○○人」には、それらのインチキ名詞と違った、重厚さ(厳粛さ)を持たせようとする、鼻持ちならない匂いもありました。


実は、ATCが製造業であるせいか私もたまに使ってしまうのですが、「ものづくり」ということばにも似たものを感じています。ただ、ATCを「ものづくり会社」と表記したことはありません。
社員はどう思っているか知りませんが、私自身はATCを「町工場」(こうばです!)と呼んでいます。
私の育った東京の下町には、数人の人が働く町工場がたくさんありました。それより規模が大きくなると、私の中ではそれは「工場(こうじょう)」になります。
子供の私は、毎朝弁当箱を下げて近所の町工場に通ってくる人たちに親近感を持っていました。この人たちの夕餉は、ささやかだけど、暖かい雰囲気に包まれているのだろうなと、おませにも想像していたのです。
あれっ、これじゃまるで、あの嘘臭い山田洋次映画になっちゃいますね。うーん、あれとは微妙に違うんだけど、それは別の機会に。