昨日の読売新聞の読書欄で、(かいのしょうただおと)の画集が出版されたことを知りました。
私が甲斐庄の絵を初めて見たのは中学生のときです。女性の肖像画が表紙に使われていた雑誌で、舞妓を描いた作品を見たのです。
見た瞬間、その舞妓に私は魅せられてしまいました。後に知ったことですが「穢い絵」と蔑まれていた甲斐庄の絵ですから、美しさにうたれたというのではありません。
中学生の私にすら、それは舞妓には見えませんでした。もう少し大きかったら、花魁と思ったことでしょう。
その女性はかすかにほほえんでいましたが、眼はふせられていました。穏やかな表情ではありません。妖しいほほえみといったらいいのでしょうか。そこには希望のない挑発が感じられます。
私は、絵ではなく、描かれた女性が好きになってしまったのです。ですから、作者の名前を覚えることはありませんでした。
数年前に放映されたNHK教育テレビの「日曜美術館」で、その絵が異端の画家、甲斐庄楠音の作品であったことを知りました。番組ではほかの作品も紹介されましたが、それらは私を捉えませんでした。
画集には、甲斐庄が女性像を描くときに参考にしたらしい、彼の女装写真も収められているそうです。
さてこの画集、買うべきか?(画集の表紙は私の魅せられた作品ではありません。)
- 作者: 甲斐庄楠音,島田康寛
- 出版社/メーカー: 求龍堂
- 発売日: 2009/03/01
- メディア: 大型本
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