旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

若桑みどり「クワトロ・ラガッティ」

若桑みどり「クワトロ・ラガッティ」を読み進めています。そろそろ上巻が終わるところなのですが、クワトロ・ラガッティ(四少年)は名前が出てきただけで、本人たちはまだ登場していません。
天正少年使節のうち、伊東マンショ千々石ミゲルの名前だけは、小学生のときに読んだ子ども向け歴史全集のおかげで、なんとか覚えていました。今回知ったのですが、このふたりが正式の使節なのですね。


四少年は登場しなくても、この本はそれまでに多くのことを教えてくれました。宣教師たちから見た当時の日本および日本人の姿、キリスト教が受容されていく過程、宗教改革と海外布教との関連等々です。
また、織田信長についての斬新な視点からの描写は、この本の白眉でもあります。この人が、今なおたくさんの人を魅了し続けていることが納得できました。
それと、些細なことなのですが、この本の章名と見出し名は出色です。


私は若桑の本業のごく一部しか知らないのですが、彼女がプロローグで「なぜ今、そしてどうして私が、四百年以上も前の天正少年使節の話などを書くのだろう。」と自問しているのを読むと、人には必然として導かれていく場所があるように思えてきました。
そしてそれは、偶然とか人知を越えたものによってなされるのではなく、その人自身のこしかたがそうさせるのではないかとも‥‥。


とまれ、私はクワトロ・ラガッティとともに16世紀のヨーロッパに旅立つことにいたします。
Bon Voyage!