旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

知んない、ではすまされないこと

平岡正明兄(あに)さんが亡くなってから、その著書を手にしていなかったので、「大落語」をぱらぱらとめくってみました。
冒頭は「明烏」論。落語少年だった兄さんが、なぜ落語について書くことを封印していたのかが、兄さんの通った京華中学の国語教師の思い出とともに語られる名品です。
<新内>については何度も論じてきた兄さんですから、はじめての落語論で「明烏」を取り上げたのは当然のなりゆきだったのでしょう。


で、ひどいこじつけのお題でおわかりのように、問題は<新内>であります。
私は兄さんの「大落語」は一度読んでいるのですが、大切なことを読み落としていました。新内の発生時期についてです。
演目の少ないことと、歌舞伎で使われないことから、私はずっと浄瑠璃の中で新内は新しいものと思いこんでいたのです。ところがどっこい、新内は常磐津と兄弟だったのです。


歌舞伎で使われている「明烏」は清元で、これは新内中興の祖、富士松魯中から五十両で買い取ったものだそうですが、無知な私は、これもはじめに清元ありきと思っていたのです。


平岡兄さんの本には、これからもずっとお世話になることでしょう。


大落語〈上〉

大落語〈上〉