旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

【江刺寄席】開演まで

開場前のホールでは

出演者の皆さまが楽屋入りするころには、いつもなら舞台上の準備は終わっています。ところが今回は高座に毛氈がまだ張ってありません。これ、作業が遅れているわけではないのです。


普段は使わない緞帳を、口上のときに上げ下げしようと計画しました。口上の柝が入ると同時に緞帳が上がり、高座には四名の噺家が並ぶ。その後ろには金屏風ではなく口上幕が引かれているという演出を考えていたのです。
ところが、ささらホールの緞帳は舞台の端から五米ほど奥に下りるようになっていました。そうなると、高座がお客さまから遠くなってしまいます。
そこで演者のご意見を聞いて、高座の位置を決めようということになったのです。
結果はお客さまの見やすさを優先することになりました。今回は高座の前で演じる色物がありません。ですから高座はぎりぎりまで前に持ってくることにしました。


舞台スタッフが高座を固定し、毛氈を張ると同時にサウンドチェックが始まりました。王楽師匠は客席を駆け回りダメ出しをします。いつもは柔和な師匠ですが、このときばかりは厳しい表情です。
俗曲の春風亭美由紀師匠はモニタースピーカーを入念にチェックしています。
出演者、スタッフともに王楽師匠のお披露目をよりすばらしいものにしようと、いい意味でピリピリした緊張感の漲る中で作業は進みます。


高座後ろには空色の口上幕が引かれ、入口には二本の鮮やかな幟が飾られました。
第四回【江刺寄席】、開演です。