旭亭だより

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平岡正明「快楽亭ブラックの毒落語」

平岡正明兄(あに)さんの「快楽亭ブラックの毒落語」を読みました。
誤植があまりに多いことに腹が立っています。編集者は、あとがき代わりの兄さんを気取った文章を書くことより、きちんとした本を出すことにつとめるべきです。
この本は兄さんの遺著なのです。著者に対する敬意があるなら、こんな本にはならなかったなずです。


私はブラック師匠の高座に接したことも、CDを聞いたこともありませんので、この本を十分に捉えることが残念ながらできません。ただ、ほかの落語に関する兄さんの著作より、だいぶ内容が落ちていることだけは確かです。


兄さんは脳梗塞で亡くなりましたが、その前にもペースメーカーの手術をしていたそうです。
兄さんは自身の体調について書くことがありませんでしたから、私は心臓病であることを知りませんでした。


博識でサービス精神に溢れた兄さんでしたが、病は晩年(あー、まだたった68歳だよ!悔しいな!)の文章にはっきりと影を落としていました。
奔放さがないのです。行きつ戻りつし、最後はとんでもないところまで飛んでいく、あの平岡節が聞こえてこないのです。
書き下ろし部分には文の乱れもありました。あれほど明晰な文を書いた兄さんでしたのに。
怠慢な編集者はこの本を「これもまた平岡節全開の本」と評していますが、我田引水に過ぎません。


兄さんなんていって私淑している私ですが、実際には兄さんの著書の十分の一も読んでいません。ですから、兄さんの新著にはこれからも出会うことができるのです。
怠惰な私ですが、それでよかったと思える唯一のことです。


快楽亭ブラックの毒落語

快楽亭ブラックの毒落語