旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

占領下の生き方

昨日の便りの続きです。


謎のような最後のシーンの前に、登場人物たちのその後が紹介されます。ドイツ軍に協力したことによって逮捕される者あり、逃げだす者あり、その一方で駆け出しの女優は成功を掴みます。
その後にマリオンが病院を訪れるシーンがあるのですが、ここが曲者なのです。カメラは病院の外からマリオンを追っていくのです。つまり、芝居ではないことにしているのです。


まあ、ベルナールへのお見舞いがいつの間にか芝居になっているという、意外な結末を招き寄せるためのテクニックと考えることはできるでしょう。だって、映画なんだものね。
では、三人の関係はどうなっているのでしょうか。以前のままなのか、離婚しベルナールと一緒になったのか。


言い忘れていた場面がありました。
ドイツ軍が劇場の地下室に誰かいるのではないかと疑い、調べに来たのです。マリオンはベルナールに頼み、ルカを隠します。そのときにルカがベルナールに言うのです。
「妻は君を愛している。」


もうひとつは、ベルナールが芝居を降りるとき、自分はレジスタンスであることをマリオンに告げます。その瞬間に、マリオンはなにも言わず、ベルナールに平手打ちをくわせるのです。


さて、三人の関係は如何に。
見た人がそれぞれに想像すればいいのですが(また監督もそれを望んでいるのでしょうが)、すっきりしたいのが私のような単純な人間です。


特典映像のトリュフォーへのインタビューにヒントがあるようです。彼はこう語っています。
「占領下では人は妥協して生きていくものなのです。」