旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

武満さんの口笛

2枚のレコード

natunohi69 さんのコメントへの返事を書いていたら、そこで触れたレコードが聞きたくなりました。で、(天気は悪いのですが)今日の虫干しは武満徹の「カトレーン」と「混声合唱のためのうた」になりました。


コメントにも書いたように「小さな空」という「混声合唱のためのうた」A面の一曲目の歌が私は大好きです。この合唱曲集には伴奏がありません。ただ、「小さな空」の最後の部分だけには、メロディーとほぼユニゾンで口笛が入っています。これがとてもいいのです。
武満徹は口笛の好きだった人なのではないでしょうか。


私は武満さんの口笛を生で聞いたことがあります。それもただひとりの聴衆として‥‥。
(このエピソードは前にも書いたような気がしますが、再度記すことにいたします。)


武満さんの口笛を聞いたのは上野の文化会館だったのですが、場所はホールではなくトイレでした。
ルドルフ・ゼルキンのコンサートの休憩時間にトイレに行くと、黒いタートルネックのセーターを着た小柄な男性が用を足していました。私もひとつ離れた便器で用を足すことにしました。ほかに人はいません。すると、その男性はそんなに大きな音ではありませんが口笛を吹き始めました。
ピアノのコンサートの休憩時間に口笛を吹くなんて、とやや非難めいた思いで私はその人の方に顔を向けました。視線を感じたのか、その人も顔をこちらに向けました。武満さんでした。
初対面ですが顔は知っていましたので、私は反射的にお辞儀をしてしまいました。武満さんもつられたのか、口笛を吹いたまま会釈してくれました。


これだけの話です。