旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

「坊主」の喧嘩

四万六千日は終わってしまいましたが、iPod で「船徳」の聞き比べをしています。黒門町のおはこですが、志ん朝さんのもいいですね。若い菊之丞さんは、今はほとんど聞けない方の船頭の不始末を語っていました。


若旦那が船頭になるというので、親方は使っている船頭たちを集めます。ひとり早とちりがいて、親方は船頭の不始末を怒っているので、先にあやまってしまえと仲間をそそのかします。
新しい船を親方にナイショで漕ぎ舳先をぶつけた奴、隣家が注文した天麩羅蕎麦を喰っただけでなく、お代までもふところに入れてしまった情けない奴が名のり出るのですが、親方の知らなかったことばかりです。


天麩羅蕎麦が出てくるのは新しい演り方で、黒門町などでは「坊主」という居酒屋での喧嘩になっていました。菊之丞さんはこれを踏襲していたのです。
たぶん「坊主」というのがわかりにくくなってしまったので、蕎麦に変わったようです。


実はこの店、今もあるのです。両国の「ぼう寿志やも」がそれで、天和三年(1683年)創業の老舗の軍鶏鍋屋です。軍鶏鍋屋は「五鉄」だけではありません。


志ん朝さんが「坊主」の喧嘩を天麩羅蕎麦に変えたと書かれた本もありますが、お兄さんの馬生師匠も蕎麦で演っていました。