旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

きつつきさんの「湯屋番」

今回の「ヤ鳥会」は好の助さんが主任です。落語が長短二席ずつで、きつつきさんは仲入り前に長い方を一席。


マクラは素人の落語会に呼ばれたときのエピソードです。
天狗連の人たちって人情噺が好きで、文楽(は人情噺はしませんでしたが)や円生になりきっている方が多いんですよね。笑いを取る落語を信条としているきつつきさん、語ったこと以上に苦労したことでしょう。


で「湯屋番」となりましたが、聞き慣れたものとちょっと違います。勘当された若旦那は、なんと自分自身で仕事先の銭湯を探してきたのです。
後はお決まりです。がきつつきさん、いつもの調子が出ていません。


この噺は若旦那の妄想と、それを見ている男湯の人たちの対比が眼目です。若旦那のひとり語りと、間髪を置かずに描写される観察者たちのことばが笑いを誘うのです。大切なのは間髪を置かないこと。地の語りを入れずに会話だけで噺を進めるのですが、この描き分けがうまくいっていません。
妄想を話す若旦那と、それを見ている人たちの間は時間の流れが違っています。その差がうまく表現できていないのです。


この噺、若旦那が番台から落ちたところで、サゲなしに終わるのが一般です。
きつつきさんはそうはしないで、最後に妄想の中の女湯のふたりを実際に登場させました。そこでサゲになるのですが、今回はサゲに入る間も悪く、感心できるものではありませんでした。
近い将来に爆笑できる「湯屋番(改)」を聞かせてください。