旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

小西甚一の本

埃をかぶっていた本の中からなんの考えもなく一冊を手にし、それに読みふけってしまうなんてのは、とても嬉しいものです。
最近では小西甚一の「俳句の世界」(講談社学術文庫)がそんな楽しさをもたらしてくれました。


小西甚一の名は私たちに世代では学習参考書の「古文研究法」で知られています。実は今でも私の手元に(最近の版ですが)この本はあります。
不勉強な私は「古文研究法」に、当時も持ってはいましたが、取り組みませんでした。あのころ、この本を血肉にしておけばどれほど豊かな世界を得ることができたかと、反省することしきりです。


でも、二十代になってから彼の連歌の評釈を読み、感動したことがあります。確か筑摩書房の日本詩人選というシリーズの中にあった「宗祇」の巻だったような気がします。
で、今回の「俳句の世界」ですが、その本の延長にあります。つまり、俳句を俳諧連歌として、あのちょっとくだけた文体と博識で論じているのです。
買ったことも忘れていた本ですが、若かったころの自分とかすかに繋がっていた水脈が、たぶんそれを選ばせたのでしょう。