震災で本棚が倒壊し、散乱した本の山の頂上にあったのは、ちくま文庫の「柳田國男全集」(全三十二巻)でした。三列のスライド式の本棚の、一番奥に押しこんであったからでしょう。
私が柳田を読んだのは十代から二十代にかけてでした。当時の柳田ブームに乗っかった恣意的な読み方で、図書館にあった「定本柳田國男集」(全三十六巻)の中の数冊に目を通したのです。
文庫版の全集は二十年ほど前に刊行され、出るたびに買ってはいたのですが、積ん読にすらならず、本棚に並べられるだけでした。折口、南方、柳田の本くらいは持っていなくてはという、安易な気持ちだったのでしょう。
「柳田國男全集」は一応処分しないことに決めました。
しかし、今の私には柳田の著作の読み方がわかりません。何冊かの柳田論も出てきましたので、まずそちらを読んでみるつもりです。