旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

「白痴」をスローリーディング中

スローリーディングなんていうことばがあるのか知りませんが、ドストエフスキーの「白痴」をじっくりと時間をかけて読んでいます。疑問が生じるたびに前の頁に何度でも戻りながらの読書というわけです。
「白痴」を読むのは三度目です。最初は十代のときで米川正夫訳の河出書房の全集本でした。二度目は三十代で、木村浩訳の新潮文庫版です。今回もこれを読んでいます。
ドストエフスキーの長編小説の中で、私は「白痴」と一番相性がいいみたいです。ほかの作品も再読以上していますが、一気に駆け抜けるように読まないと最後までたどりつくことができません。登場人物たちに押しつぶされてしまいそうになるからです。
「白痴」に出てくる人たちも強烈な個性の持ち主ばかりですが、ムイシュキン公爵が緩衝材になってくれるおかげで、振りまわされずにじっくりとその人たちを観察できます。まあなんとかお付きあいはできるようです。
若いころにナスターシャ・フィリポヴナが理想の女性だなどと吹聴していました。それは埴谷雄高の口まねで、今思うと恥ずかしい限りです。あんな女性、十米以内に近寄ることさえご遠慮いたします。今回はリザヴェータ夫人に魅力を感じています。