旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

思えば遠くへ来たもんだ

江刺工場裏の雪景色

江刺に行ってきました。
江刺最大のイベントといえば5月の「江刺甚句まつり」で、今年は3・4日に開催されます。例年通り3日には無料のコンサートがあります。昨年は中村あゆみでしたが、今年は海援隊が予定されているそうです。
お題は彼らのヒット曲のタイトルで、私はこの曲が結構好きです。
何度も繰り返される曲名と同じフレーズが魅力になっていますが、実はこれ、中原中也の詩「頑是ない歌」のもろパクリです。

思へば遠くへ来たもんだ 十二の冬のあの夕べ
港の空に鳴り響いた 汽笛の湯気は今いずこ

「思えば遠くへ来たもんだ」にも汽笛が登場します。

眠れぬ夜に酒を飲み 夜汽車の汽笛聞くたびに
僕の耳に遠く近く レールの響きが過ぎてゆく

作詞した武田鉄矢はタイトルをいただいただけでなく、中也の口調も取り入れています。だからまずいというのではなく、だから私はこの曲が許せます。武田さん、文学少年だったのでしょうね。
「頑是ない歌」を思いだしたのは、今回の出張に携えた本の1冊が大岡昇平の「中原中也」(講談社文芸文庫)だったからです。私が原著を読んだのは40年前で、長い年月を挟んでの再読となりました。