旭亭だより

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日本古代史の本を読む

先月から日本の古代史に関する本を集中的に読んでいます。きっかけは昨年の12月に出版された上田正昭の「私の日本古代史」(新潮選書)でした。「第一人者が展望する決定版通史!」と裏表紙に書かれています。
この本が実に読みづらく、下巻の途中で放り出してしまいました。内容の是非は私には判断できませんが、ひとつの出来事があちこちに登場し、通史として読める本ではないのです。御年85歳の大家には、編集者も注文を付けにくかったのでしょうか。
せっかく古代史の通史を読もうとしたのですから、このまますごすごとやめてしまうのはしゃくです。そこで手持ちの本の再読にかかりました。講談社学術文庫版「日本の歴史」の1巻から5巻までと、岩波新書の「シリーズ日本古代史」全6冊です。「日本の歴史」の原本は岩波新書の約10年前に出版されています。
日本の古代史は考古学的発見により大きく書き換えられつつあると聞いています。このふたつのシリーズにも、まったく対立する見解はありませんが、微妙な違いがあります。門外漢の私には、残念ながらうまくその差を表現することができません。
まとめ読書のおかげで、日本の古代史と、古代史研究の現在が私の中でおぼろげながら像を結びました。「日本書紀」がかなり正確な歴史書であったと評価されているようです。驚きました。
再読だけで終わってしまうのは、いくら物忘れがひどくなったからといって、面白くありません。最近、岩波新書が日本古代史に力を入れているようなので、近著2冊も読んでみました。吉村武彦「女帝の古代日本」と村井康彦「出雲と大和」です。村井本は古代史探訪旅行のお供にどうぞ、ですが、「シリーズ日本古代史」にも「ヤマト王権」を書いている吉村の著作は刺激的でした。