旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

唐来参和

小沢昭一さんのひとり芝居「唐来参和(とうらいさんな)」のDVDを買い、二度続けて見ました。25年前の収録ですから画質は悪いのですが、その分小沢さんの全盛期で、たっぷりと楽しませていただきました。戯曲ではなく、井上ひさしの小説をそのまま芝居にしてしまうという発想にも驚かされました。
前半の解説的トークで、小沢さんは原作の「戯作者銘々伝」で唐来参和をはじめて知ったと語っていましたが、たぶん嘘でしょう。彼が、私でさえ読んだことのある参和を知らないわけがありません。
私が唐来参和の黄表紙を読んだのは中学生のときでした。学校の図書室で岩波書店の旧日本古典文學大系の「黄表紙洒落本集」を見つけ、あまりの面白さにむさぼるように読んだのです。
中学生が黄表紙を、と思われるかもしれませんが、ほぼ口語で書かれていますし、江戸語については頭注がありますので、慣れれば明治期の小説と同じように読めます。それに、どれも短く挿絵入りです。
それがまた読みたくなりました。ネットで注文し、昨日届きました。送料込みで370円でしたから、読めればいいやと考えていました。それがなんと初版で、読んだ形跡もないきれいな本でした。焼けもありませんから、個人蔵ではなくデッドストックだったのでしょう。
中学生の私は山東京伝が好きでした。還暦を過ぎた私は、どんな感想を抱くのでしょうか。