旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

ニッカはこうでなくちゃ

マンションの建設現場で、久しぶりに本物のニッカボッカで作業をしている人を見ました。40歳くらいだったでしょうか。
若い土木作業員たちのはいているニッカを苦々しく思っていました。派手な色に薄手の生地、それだけならまだ許せますが、足首のあたりで広がっている裾が嫌でした。第一、危険です。
私が二十歳まで暮らしていた町には、鳶の親方の家がありました。毎朝、そこで働く鳶職の人たちが集まって来ます。彼らはニッカをはいていました。裾は膝下ですぼまっています。そしてその下はゲートルと地下足袋でした。
ニッカをはくのは、作業をしやすくするためだそうです。汗をかいても、太股に生地が張りつかないからです。
組の袢纏を着たニッカ姿は、鳶職であることを知っているせいもあるのでしょうが、鯔背に見えました。
親方は養子でしたが、先代の娘であるおかみさんとその息子は、早口で巻き舌の生粋の下町ことばで話していました。息子は出初め式の梯子乗りのスターでもありました。
そこで働いていたきんさんは、後に「天才・たけしの元気の出るテレビ」の「江戸っ子じいさん」で一躍有名になりましたっけ。