シフのディアベリ変奏曲

アンドラーシュ・シフの新しいＣＤが出ました。次はイギリス組曲かフランス組曲になるだろうと想像していたのですが、はずれてしまいました。
まさかのディアベリ変奏曲です。おまけに二枚組。なぜ？
モダンピアノとフォルテピアノの二種類で演奏したのです。モダンピアノは1921年製のベヒシュタインで、フォルテピアノはボンのベートーヴェンハウスにある1820年頃のオリジナル楽器です。また、ＥＣＭでのシフのＣＤはコンサート録音でしたが、今回は違っています。
カップリング（？）が秀逸です。一枚目のモダンピアノ編は最後のピアノソナタではじまり、ディアベリ変奏曲に続きます。二枚目、フォルテピアノ編はディアベリ変奏曲の後、六つのバガテルで結ばれます。晩年の傑作がブックエンドになっているのです。
モダンピアノとはいえ、ベヒシュタインの音は現在のピアノとはだいぶ趣が違います。重々しく、高音部もきらびやかではありません。そんなことはないのでしょうが、キータッチさえ重いように感じられます。
フォルテピアノの音は苦手です。モーツァルトでさえ私はモダンピアノが好きです。ふたつのディアベリ変奏曲が、音以外にどのように違うのかは今はよくわかりません。なんとかフォルテピアノの音に慣れ、聞き比べてみることにします。

Diabelli-Variationen