旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

いきなりミルクといわれてもね

昨日の便りの最後センテンスに出てきた「ミルク」について説明します。
蕎麦屋」は80年発売のアルバム「生きていてもいいですか」に収録されていました。私と同い年のみゆきさんは28歳。でも私には、「蕎麦屋」は二十歳(はたち)前後の恋人ではない男女ふたりを、過去を回想する視点で歌ったものに聞こえました。
さて「ミルク」です。78年のアルバム「愛していると云ってくれ」に登場します。「ミルク32」という曲です。この「32」は「ミルク」と「あたし」に呼ばれている男性の年齢です。
ミルクばかり飲んでいたので「ミルク」と揶揄されていた彼はバーのマスターになり、今ではバーボンを飲むようになりました。「あたし」は男にふられるたびにこの店を訪れ、深酒をしているようです。
この男女、好意を抱いたときもあったらしいのですが、深い関係まではいっていません。お互いのことがよく理解できたから、そしてそれが鏡を見るようなものであったから、一歩踏みとどまったのです。だから「あたし」は店に来て愚痴っていられるのです。
ふたりには年齢差がないように思えます。アルバム発売時にみゆきさんは26歳、「ミルク」は32歳です。作者は「あたし」をその年齢に設定したのでしょう。26歳同士でも、6歳の年の差でも、このような関係は成り立ちません。
そして2年後のアルバムで10年以上前のふたりが描かれるのです。「蕎麦屋」で会うしかなかったふたり。お金もなく、飲酒の習慣もなかったふたりが。
「あたし」が「ミルク」のいる店に来たのは、この日が最後になったはずです。