旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

平出修

大逆事件に関する本を読み進めています。田中伸尚著の『大逆事件』(岩波現代文庫)には大逆事件の弁護人であった平出修について、やや詳しく書かれていました。
平出修の名は、石川啄木大逆事件裁判に関する書類を貸し出した弁護士として私も知っていました。啄木は東京朝日新聞に勤めていましたから、その関係で平出と知りあったのであろうと。
が、平出は学生時代から短歌や評論を書いていて、雑誌『スバル』とも関係があったのです。そうなると啄木ともこちらを通じた付きあいだったのかも知れません。
平出は小説も書いていました。雑誌『太陽』に「逆徒」という作品が掲載されるはずでしたが、『太陽』のこの号は発売禁止となりました。「逆徒」の主人公は大逆事件連座した三浦安太郎だったそうです。
『太陽』は「逆徒」を広津柳浪の小説と差し替えて訂正版が発行されました。そして翌月号には平出の長編論文「発売禁止に就いて」が掲載されたのです。
啄木は1912年4月13日に二十六歳で世を去り、平出は二年後の14年3月17日に三十七歳で亡くなりました。