旭亭だより

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吉村昭『彰義隊』

吉村昭の『彰義隊』(新潮文庫)を再読しました。文庫本になってすぐに購入した本です。
表題とは違い、主人公は輪王寺宮です。吉村は、一日で終わった上野戦争は長編小説には向かないと判断しました。寛永寺を落ち延びた宮がどのようにして東北にたどりついたのかが、吉村らしい綿密な調査で描かれています。
奥羽越列藩同盟の盟主となった宮でしたが、伏見宮家に復しプロシア留学中に北白川宮を継ぎます。帰国後近衛師団長となり、台湾の戦場で病死しました。数奇な生涯であったといえるでしょう。