旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

読み始めると止まらない

絓秀実の『増補 革命的な、あまりに革命的な 「1968年の革命」史論』(ちくま学芸文庫)を読み始めました。
第Ⅰ部第四章「大江健三郎における保守的革命主義の帰趨」で触れている大西巨人の二つの文章が読みたくなり、『大西巨人文選2 途上』(みすず書房)を書棚から引き出しました。「ハンセン病問題 その歴史と現実、その文学との関係」と「大江健三郎先生作『われらの時代』」です。
どちらも既読ですが、内容は忘れていました。「ハンセン病問題 その歴史と現実、その文学との関係」では、参照されている文章の多様さに驚きました。これが批評というものなのでしょう。
大江健三郎先生作『われらの時代』」では『われらの時代』が完全に否定されています。大江の小説の愛読者である私ですが、これはこれで納得できます。大西は別の評論で『芽むしり仔撃ち』には高い評価を与えていました。大西の大江評は江藤淳に似ています。それが面白く思えました。
大西の文章はなぜか後を引きます。絓の本はひとまず置いて、文選を読み耽りそうです。