高見順の『いやな感じ』が再刊され驚いています。講談社文芸文庫ならわからないでもないのですが、共和国という出版社からハードカバーで出版されました。
私の持っている『いやな感じ』は『筑摩現代文学大系52 高見順集』に収録されたものです。懐かしくなり再読しています。
小説は主人公・加柴四郎が玉の井の私娼窟を訪ねることから始まります。『いやな感じ』の刊行は1963年ですが、作品はその後に加柴がいわゆる「三月事件」に加わろうとしますから、1930年頃を時代背景にしています。
玉の井の私娼窟といえば誰もが永井荷風の『墨東綺譚』を思い浮かべることでしょう。荷風が玉の井を初めて訪れるのは1936年で、同年に『墨東綺譚』を脱稿しています。
高見順と永井荷風は従兄同士です。
ピンチョンの『逆光』はまだ200頁しか読んでいません。そのほかに読みかけの本が5冊、机の上にのっています。