旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

迷訳

『マルコムX 伝説を超えた生涯』(白水社)をいらいらしながら読んでいます。なぜか。翻訳がひどいのです。
異母姉、エラがマルコムを訪ねてきたのですが続柄が「異父姉」となっていました。母、デイジーが再婚したとは書かれていませんし、もしそうであっても長女と同じ名は付けないでしょう。その後「異母姉」に変わりましたので、とりあえず誤植と思うことにしました。(さらに後にはマルコムたちはエラの「異父兄弟」になるのですが。)
マルコムはエラのコートを盗み、転売して逮捕されます。そこでは盗まれたコートは「伯母」のものとなっていました。原著に誤りがあったとしても、訂正するか「原文のまま」と注記するべきです。
それくらいでしたらわざわざ書くことでもありません。まったく理解できない箇所や、言葉足らずな文章が続出します。この本は哲学書や文学書ではなく伝記ですから、原著が難解な表現で書かれているとは思えません。訳者と、それを指摘できなかった編集者の落ち度でしょう。
それでもマルコムXを知るためには重要な本には間違いありませんから、なんとか訳文の奥に原文をさぐり完読するつもりです。