旭亭だより

年金暮らし老人の近況報告です

誰がよんだか縮尻平次(しくじりへいじ)

相変わらず『銭形平次捕物控』をちびちび読んでいます。この捕物帖のおもしろさがわかるには少々時間がかかりました。
江戸の人たちは銭形平次を縮尻平次ともよんでいました。むしろ平次は後者のあだ名で親しまれていたのです。
平次は捕物の名人でしたが、実は検挙率が低いのです。犯人をつきとめても捕まえないことが多かったからです。平次はいたしかたない犯罪には目をつぶりました。それが重罪ならば犯人を江戸から逃がしたりもしていました。
では、どう処理したのでしょうか。幽霊や狐狸のしわざにしたり、「犯人はわからなかった」と自身の責任にしたのです。
上司の与力、笹野新三郎もそれに気づいていて「平次、また縮尻か」と声をかけることもありました。そんなことが市中の人たちにいつしか伝わっていったのでしょう。